いつもゴールへつれてってくれる君へ

今日、傑作だったね。君と僕のマイルストーンに、なんと!恐竜が待っていてくれてたよ。

君の積算メータが4桁になったときに、僕が急ブレーキしたところがここだ。
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こんなドラマのようなシチュエーションに僕は泣いちゃったけど、周囲にいたキャンピングカーの人たちは、何やっているんだって顔してたね。大丈夫、君は何にも恥ずかしがることは無いよ。

そりゃぁさ、自転車でたくさん走ったって言っても、いつも自転車で通勤している人や、ロードレーサーなんかを乗り回しているような人たちにとっては、実に大したことないことかもしれないね。
でも、多少君より長めに生きてきた僕の経験からすると、普通の人間の人生なんか大した事なんてないんだよな。君はこの大したこと無い人生に、少し感動を与えてくれているんだよ。すばらしいことじゃないか。
今年の一月から、僕はいろんな旅を始めたけど、今のところ一番充実しているのが、君との旅だよ。こんなにも早く、一周をまわれた訳だしね。

インターフェロン治療を始めるとき、僕の移動方法を確保するためと、それほど体力を使わない方法で運動できるように、君は友達になってくれた。
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初めてのペグイントロン注射の二日前、肝生検を終えて外泊している間、そう!坊主になった次の日だ。その日のうちに、君に走行メータを取り付けたんだよ、まさにそのときが積算距離0.0kmさ。
外泊中はさ、注射を初めて副作用で体調が変わらないうちに、君をがむしゃらに走らせようとして、あせっていたのを思い出すよ。でもさ、全く予想もしてなかったけどさ、治療中も同じように君を走らせることができていて、まだまだやれるなってことを気づかせてくれたのも、君だよ。

君と友達になってから気づいたんだけど、僕は君を置いて旅を終わらせることができないんだってね。だって、スタート地点が自宅だろうが、君を運んだ自動車だろうが、ここに戻ってこないと僕は我が家に戻ってこれないんだよ。だから、スタート地点がゴール地点、こんな単純なことを、君と友達になってから知ったよ。だから、どんなに辛い体調でも、どんなにきつい行程でも、「ゴール地点に行かなきゃ旅が終わらないぞ」、って言ってくれるのが君だ。
間違って、プロがレースに使うような折り返し禁止のサイクリングコースに入ってしまったとき、「ここで止めるてったって何にもならないし、飯も食えないじゃないか!」って厳しい口調で僕の気持ちを鼓舞してくれてたね。息が続かなくて、汗が滝のように出て、もうペダルをこげなくて、しばらく休憩したときも、先に行くことなくずっと待っていてくれた。君は不本意だったかもしれないけど、いつまでも続く坂を歩いて登っていったときも、君は裏切らずずっと付き添ってくれた。心臓破りの坂を越えたとき、ご褒美、いつもは出さない時速40km/hで、君は僕を祝福してくれたね、とてもうれしかったよ。

今日さ、フェリーに乗ったときに、君の分の運賃を用意するの忘れて、あわてて10円を探したんだよね、ちょっと恥ずかしかったよ。でも、君と僕に別々の運賃が必要なこと、全く気づかなかったんだよね。
あ、そうそう、君に名前をつけようにした事、一度もなかったな。
君は、僕の体力や体調や感情だとかを、そのままトルクに反映させて、その反作用で、僕らを前に進めたり止めたりしてくれているんだよね、実際には神経なんかつながっていないくせな。


つまり、君は僕であり、僕は君なんだ。



ついに、君と僕の旅、積算距離が1000.0kmになったよ!



いつもゴールへつれてってくれる君へ。


おめでとう。そして、ありがとう。

p.s. いつか、今日行った道を通って、君を四国に運ぶことを約束するよ。今の体力じゃ無理だけど、君と僕の生が続いているまでのいつか、きっと。