私にとって、お仲間アンテナとは

藤居さんにとってC型肝炎お仲間アンテナとは、隠れ蓑でした。
正直悪用していました。

確かに私は、ペグインターフェロン+リバビリン併用療法を、全量休みなく実施しました。
それなのに、それほど苦しみがなく、仕事でドサマワリしたり、自動車で遠方にドライブに行ったり、100kmサイクリングをしたりしました。
私の経験は、非常に特異なもので、どうやらほかの方々の経験とは違っていました。

そういうことをBlogなんかで日記に書いたり、その他の媒体で書いたりすると、ごく偶にネガティブな反応をいただきました。
インターフェロン治療中、楽に過ごせているお前の姿を見ると、あれほど苦しんだ私の心は傷ついた。いろんな人に誤解を与えるので、お前は目立たないで欲しい。」
驚きました。私自身、一切のうそは書いてないのにもかかわらず、誰かの心を傷つけるようなことをしているのだと。
闘病記というのは、やはり苦しく耐えている姿を見せるもの、それ以外の形態は意味がないどころか、かえって害がある、という考え方です。

本当にそうでしょうか。
インターフェロン治療をして、ピンピンして、仕事も遊びもそれなりにこなしている奴を、探している人もいるのではないでしょうか。私自身は、そういう人もいると信じています。
ただ、どのぐらい苦しくなることもあるのか前もってそういうことを知っておきたい人や、苦しいもの同士慰めあいたいと思っている人もいるでしょう。

要するに、インターフェロン治療の記録に、特定のスタイルを押し付ける必要はないですし、実際それは困難です。
インターフェロン治療の体験は、副作用から、体調体力、周りの環境とさまざまで、人それぞれです。
また、情報が欲しい立場の人の要求事項がそれぞれ違います。
いろいろあって当然なのです。

インターフェロン治療の体験にも、人それぞれいろいろある、これを感じさせてくれるのが、治療をblogで記録している人たちの集合である、C型肝炎お仲間アンテナです。
アンテナを見ると、治療中ろくに起き上がれない人、脱毛に悩んでいる人、睡眠薬や解熱剤がないと眠れない人、治療を継続できない人、と同時に、温泉旅行に出かける人、演奏する人、サイクリングする人、徹夜で仕事している人、いろんな人がいることがわかります。
これは、見るものにとって、非常に混乱状態なのかもしれませんが、これこそ本当の現実なのです。
治療を検討する人にとって、画一的に悲観的でも楽観的でもなく、結局のところ、自分に起こることは自分で経験しないとわからない、ということがわかります。
私には、このことが非常に大事なことのような気がしてなりません。

治療に向かい一歩を踏み出した人は、自分と似たような経験を持つ人のblogを探し、そしてその人が問題をどのように解決していったかを読み取るでしょう。
もちろん、まったく同じような経験を持つ人を探すことは困難ですが、探す対象が多様なほど、有効な答えを得やすいはずです。

そう自分に言い聞かせながら、アンテナを隠れ蓑にして、自分だけの経験を、自分勝手に書き散らすことができました。こういう安心を、アンテナが保障してくれていたような気がします。
まさに、私はアンテナを悪用していました。