品川の11時25分

こんな夜でも、品川駅は沢山人が流れて澱んでいる。
ネクタイを外したカラカラのサラリーマン、仰け反り時刻表を見上げる浴衣の娘、キャスターに旅の荷物を任せたじいさん、乗り遅れた列車に拳であたる禿げ頭、左右の耳からコードをぶら下げる約三分の一、キスから離れない男と女。
非日常な日常、田舎者の東京出張。