薬師湯

二度目の体験。

中にはオヤジ二人。
ここの湯は濃い。鉄のにおいがするし、少しなめるとしょっぱい。
当たりは堆積物で鍾乳洞のよう、シャンプーの泡も立たない。
やがて鼻歌好きのオヤジが出て、しばらくそこらでうなっていたオヤジも出る。
なまずの湯口から出るジョロジョロ、脱衣所オヤジの笑い声がかすかに聞こえる。
ここでおいらは、「前向きなため息」やらを、五度か六度はくのよ。

脱衣所に出ると、「いい湯だったでしょう。」こういうところにいるオヤジはたいていおせっかい。
「しょっぱいですよね。」「そう、湯口に出るのをちょっと割って飲むと、胃腸に良いってね。」
「熱い湯ですよね。」「そう、でもぜんぜん沸かしていないよ。」
「自然のままなんですね。」「そう、明治の浜田地震の時出てきたんだよ。」
「へぇ、結構最近なんですね。」「だから、なまずからお湯が出ている。」
な る ほ ど !