肝炎市民講座

おいら、福山市民ではないのだが、「第15回肝臓市民公開講座in福山」に行って来た。肝炎治療というよりは、肝癌治療の話。それはそれで初見のことなので、とても勉強になった。
なんといっても、肝癌予防は、ウィルス性肝炎の早期発見と治療ということだ。肝癌の9割はウィルス性肝炎が元、その7割がC型肝炎。「癌の芽」は慢性肝炎のときにできることもあるが、肝炎が進むにつれ肝硬変となれば、癌ができるリスクが高くなるとの事。

医療行為のウィルス感染対策が進んだ今の時代、普通に生活して新たに感染する率は低い。よって、血液検査して抗体陰性が出れば、死ぬまで二度と検査する必要が無い、だから一生にいっぺんだけ検査してくれよ、と強調していた。

肝癌の治療、外科手術でざっくり切除するのが一番予後が良いとのこと。でも、肝硬変などで機能が低下しているときに切除すると、肝機能が足らないため危ない。よって、場合によって局所的な治療を検討する。

RFAは、針の先にラジオ波を出す器具を肝癌の位置に差し込んで、12分ぐらい電波を出し続けると、熱で周囲の細胞が死ぬ、よって癌がうまく消える。アルコールを患部に入れる治療は数回の処置が必要だが、RFAは一度ですむので楽なのだとか。

癌が大きくなると、カテーテルを差し込んで、患部に抗がん剤を入れつつ、血を送る動脈をふさぐようなこともするらしい。でも、これでは完全に癌が死滅せず、何度も継続して行う必要があるとの事。
癌が進んで、門脈などがおかされて、血流が悪いと、体の中にリザーバというのをさしたままにして、長い間抗がん剤を患部に送り続けないと、癌が消えないらしい。

一度癌を死滅させたとしても、安心できない。癌の芽は点在することもある。
癌の数が少なく、血小板が多くて、GOTが少ない場合は、再発しにくい。

とにかくごっそりとって、生体肝移植という手がある。最近保険適用の影響もあって、毎週のように移植手術をしているとの事。

診断はまずは超音波。怪しいことがわかったらCTかMRI。肝生検や腹腔鏡検査も。原発性(その場で生まれた)癌はこれで見つける。
転移した癌は、がん細胞のブドウ糖代謝を見るPETというので見つけやすいが、施設は中四国で数台レベルとの事。

放射線治療、今までその他の治療でなんともできない場合に使うが、あまり聞かないとの認識。
CTと放射線照射装置の組み合わせによる定位照射は、位置精度が上がるので照射量をあげることができる、肝癌治療に使えていくと考えられるが、あまり治療データが無いとの事。

会場には150人ぐらいいた。
質問コーナでは、受講者の質問票に答えるというもの。おいらのようにお気軽C肝患者なんていなくて、皆さん真剣に取り組まれているのがわかる、突っ込んだ質問が多い。

無症候性キャリアでインターフェロン治療をすべきかどうか。最近の治療効果の向上から、しなくても良いというところから、そろそろする様に進める段階になりつつあるとの事。
無症候性のようにGPT/GOTが少ないと、むしろインターフェロンが効きにくいからだそうだ。でも、リバビリン併用でそういう場合でも効くようになってきた。

とにかく、医者にしてみれば、民間療法の類は全く信じるなと。数年前にマスコミで話題になった治療法は、少なくとも誰でも効くというものは皆無で、肝臓学会でもそれの確認に費やした数年だったようだ。レチノイドは、もうだめらしい。ネットの口コミは根も葉もないことが多いという。とにかくそういうのは手に出すなと。

そういえば、シェリングプラウ社が、公演資料の中にイントロンAの自己注射のしおりを紛れ込ましてました、こんなところにも商魂たくましいです。今回の市民講座で具体的な話は出ませんでしたが、ついにそんな時代が来ました。