C型肝炎治療中のプロフィール

藤居芳生(ふじいよしお)1971年生まれ、C型肝炎闘病中の34歳(独身)。

C型肝炎は、C型肝炎ウィルス(HCV)が体内に感染し、自己の免疫作用がそれを壊すために、それが溜まっている肝臓の細胞を攻撃することで、肝臓に炎症が起こっている病気です。ほっとけば、私の肝臓はコラーゲンたっぷりになって、潤いのあるプリプリ状態の正反対(肝硬変)になっちゃいます。いま、私の血液に触れるような激しいナニをすると、 HCVに感染する可能性があります。

HCVRNAウィルスで、この種類のRNAウィルスは自分の端っこに、自分を複製させやすくするレプリカーゼという酵素の作り方がコーディングされている部分を持ちます。HCVたんぱく質の殻を捨てて、私の肝臓細胞の中にメッセンジャー RNAっぽく振舞っていると、いつかリボゾームに届きます。リボゾームはその部分をデコードし、丁寧にレプリカーゼを作ってしまいます。そうすると、 HCVRNAはそのレプリカーゼの作用を使って勝手に増えていきます。もちろんHCV RNAの別のコードも翻訳され、HCVの殻などもどんどん合成されて、HCV RNAはその殻の中に隠れて、C型肝炎ウィルス完成!という事が、私の肝臓のそこらへんで起きています。そうやって、私の「機能」使ってHCVがどんどん増えてきます。

そう、気づきましたか?フロッピーディスクで感染していくコンピュータウィルスみたいです。だから、組み込み系技術者である私には、とてもHCVに興味があります。おいらが暇つぶしにウィルスを作るんだったら、こう作るんだろうな、と考えてみるわけです。

よく考えてみれば、HCVだって、自然が数十億年の間の暇つぶししてできたプログラム。自然は、一方で「ホモサピエンス」のような誰もが唸る複雑なプログラムを書く中で、他方で「C型肝炎ウィルス」のような組み込み系エンジニアが唸るような「あれげ」なプログラムを書いてしまう。実は、自然にとっては、どちらの作品も優劣があるわけじゃなく、同じぐらい手を抜いた暇つぶしだってことが、驚きです。

人生というのは、そのぐらいの姿勢の方が楽しいのかもしれない、そんなことを考えてしまうような「思考回路」を持つのが、私「藤居芳生」です。